「投資には損をする可能性があるなら、現金で持っていた方が安全なのでは?」
投資について勉強し始めると、こう考える人もいるのではないでしょうか。
確かに、銀行預金には株式や投資信託のような日々の価格変動はありません。
100万円を預けていたら、株価の下落によって突然80万円になる、ということもありません。
しかし、ここで知っておきたいことがあります。
それは、現金にも「実質的な価値が下がる」というリスクがあることです。
その大きな原因の一つが「インフレ」です。
この記事では、
- インフレとは何か
- なぜ現金の価値が下がるのか
- 貯金だけではダメなのか
- 投資と現金をどう考えればいいのか
を初心者向けに解説します。
そもそも「お金の価値」とは?
まず、「現金の価値が下がる」とはどういう意味でしょうか。
例えば、あなたが100万円を持っているとします。
1年後も銀行口座に100万円あれば、金額そのものは100万円です。
しかし、大切なのは、
「100万円ある」という数字だけではなく、その100万円で何を買えるのか
ということです。
例えば、これまで100円で買えていた商品が120円になったとします。
持っている100万円という金額は変わっていません。
しかし、同じ100万円で購入できる商品の量は以前より少なくなります。
つまり、
お金の額面は変わっていなくても、お金の実質的な購買力は低下している
ということです。
これが「現金の価値が下がる」という考え方です。
インフレとは?
インフレ(インフレーション)とは、一般的にモノやサービスの価格が継続的に上昇する状態を指します。
例えば、
- 食料品
- 電気・ガス
- ガソリン
- 家賃
- 外食
- 日用品
など、さまざまなモノやサービスの価格が全体として上昇していく状態です。
仮に100円の商品が120円になれば、同じ商品を買うために以前より20円多く必要になります。
これをさまざまな商品やサービスに広げて考えると、
物価が上昇するほど、同じ金額のお金で買えるものは少なくなる
ことが分かります。
100万円を現金で持っていたらどうなる?
簡単な例で考えてみましょう。
現在100万円の商品があるとします。
仮に物価が毎年2%ずつ上昇した場合、その商品と同等のものの価格が同じペースで上昇すると仮定すると、
1年後:約102万円
10年後:約122万円
20年後:約149万円
30年後:約181万円
になります。
一方、手元の100万円がまったく増えなければ、30年後も100万円です。
つまり現在なら100万円で買えるものが、将来は同じ100万円では買えなくなる可能性があります。
もちろん、実際の物価は毎年きれいに2%ずつ上昇するわけではありません。
物価があまり上がらない年もあれば、大きく上昇する年もあります。
この例で重要なのは、
長期間にわたって物価が上昇すると、現金の購買力は相対的に低下する
という考え方です。
日本ではなぜこの感覚が薄かったのか?
「でも、日本では物価があまり変わらなかったのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
日本では長い間、物価が大きく上昇しない時期が続きました。
特に1990年代後半以降、日本経済ではデフレや低インフレが長期間続いたため、「現金を持っていても価値が大きく変わらない」という感覚を持ちやすい環境がありました。
デフレとは?
デフレ(デフレーション)は、一般的にモノやサービスの価格が継続的に下落する状態です。
インフレとは反対です。
物価が下がれば、同じ100万円でも購入できるものは増えます。
そのため、デフレ環境では現金を保有することの相対的な価値が高まりやすくなります。
しかし、過去にデフレや低インフレが続いたからといって、将来も同じ環境が続くとは限りません。
日本銀行は「物価安定の目標」を2%としている
日本銀行は、「物価安定の目標」として消費者物価の前年比上昇率2%を掲げています。
これは「毎年必ず物価が2%上昇する」という意味ではありません。
実際の物価上昇率は、景気やエネルギー価格、為替、賃金などさまざまな要因によって変動します。
ただ、長期的なお金の管理を考えるときには、
「現金の購買力は常に一定とは限らない」
ということを理解しておく必要があります。
では、貯金は意味がないのか?
ここで誤解してはいけないのが、
「インフレがあるから貯金はダメ」
ということではありません。
現金や預金には、投資とは違った重要な役割があります。
例えば、
- 毎月の生活費
- 家賃
- 税金
- 急な病気やケガなどへの備え
- 数年以内に使う予定のお金
などです。
こうしたお金まで投資してしまうと、必要になったときに投資商品の価格が下落している可能性があります。
そのため、
現金と投資はどちらか一方を選ぶものではなく、役割が違う
と考える方が分かりやすいでしょう。
「投資しない=ノーリスク」ではない
ここまでの内容を整理すると、
投資には、
価格が下落して損失が発生するリスク
があります。
一方、現金には、
インフレによって購買力が低下するリスク
があります。
つまり、
「投資をしなければリスクがゼロになる」というわけではありません。
重要なのは、リスクを完全になくそうとすることではなく、
自分がどのようなリスクを取っているのかを理解すること
です。
現金と投資を使い分ける
では、具体的にどう考えればいいのでしょうか。
基本的な考え方の一つは、お金を使う時期によって分けることです。
近いうちに必要なお金は、現金や預金として確保する。
一方で、長期間使う予定のない余裕資金については、投資を選択肢の一つとして検討する。
例えば、
生活に必要なお金 → 現金・預金
将来のためのお金 → 現金・預金+投資を検討
という考え方です。
もちろん、どの程度を投資に回すべきかは、収入、支出、資産、家族構成、年齢、投資目的、リスク許容度などによって異なります。
「現金は○%、投資は○%が正解」という一律の答えはありません。
投資を始める理由を間違えない
インフレについて知ると、
「早く投資しないと損をする」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、焦って投資を始める必要はありません。
投資には元本割れの可能性があります。
インフレ対策を考えることと、理解していない金融商品へ急いでお金を入れることは別の話です。
まず、
現金にも投資にも、それぞれ異なるリスクがある
と理解することが重要です。
そのうえで、自分のお金を、
「いつ使うのか」
「何のために使うのか」
「どの程度の値下がりまで受け入れられるのか」
という視点から整理していきます。
まとめ
投資には、価格が下落して損失が発生するリスクがあります。
しかし、現金で保有していればすべてのリスクを避けられるわけではありません。
インフレによって物価が上昇すれば、同じ金額で購入できるモノやサービスは少なくなり、現金の実質的な購買力が低下する可能性があります。
だからといって、現金をすべて投資に回す必要もありません。
大切なのは、
現金と投資、それぞれの役割とリスクを理解して使い分けることです。
では、実際に投資を始めるとしたら、何から準備すればいいのでしょうか。
次の記事では、
について解説します。


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